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内部監査とは?目的や種類、チェックリスト付きでわかりやすく徹底解説。

内部監査とは、企業や組織内部の業務が適切に管理・運営されているかを評価し、問題点の指摘や改善策を提案する活動です。本記事では、内部監査の基本から目的、手順、種類まで網羅的に、簡単に図解付きでわかりやすく解説していきます。


目次



内部監査とはどんな仕事?

内部監査とは、企業や組織内部の業務が適切に管理・運営されているかを評価し、問題点の指摘や改善策を提案する活動の事です。

分かりやすく言い換えると、内部監査とは、会社のルールや法律をしっかり守りながら、ムダやミスを減らし、会社がもっと良くなるようにチェックする仕事です。

会社の「健康診断」のようなものと考えるとわかりやすいでしょう。内部監査は、経営者や社内の独立した監査部門が主導して行うのが一般的です。


内部監査の目的

1. 会社のルールや法律を守れているか確認する(コンプライアンス)

企業は、法律や社内ルールに従って業務を行う必要があります。しかし、無意識のうちにルール違反が起こることもあります。内部監査では、法律違反や社内ルールの不備を見つけ、問題が発生する前に改善できるようにするのが目的です。

✅ 労働基準法や個人情報保護法を守れているか確認

✅ 取引先との契約が適切に管理されているか確認


2. 不正やミスを防ぐ(リスク管理)

会社の中で「お金の流れ」や「業務プロセス」に不正やミスがあると、経営に大きなダメージを与えます。内部監査では、「お金の流れ」や「業務プロセス」のリスクを事前に見つけて対策を取ることが目的です。

✅ 経費の不正請求や架空取引がないか確認

✅ 重要なデータが適切に管理されているか確認


3. 業務の効率化をサポート(業務改善)

監査の目的は「悪い点を指摘する」だけではありません。ムダな業務や非効率なプロセスを見直し、よりスムーズに仕事ができるようにすることも大切です。

✅ 手作業で時間がかかっている業務を、システム化する提案をする

✅ 社内で同じ作業を重複して行っていないか確認


4. 企業の信頼性を高める(ステークホルダーの安心感)

企業は、株主・取引先・従業員・顧客など、多くのステークホルダー(関係者)と関わっています。内部監査を行うことで、企業が健全な経営をしていることをステークホルダーへ示し、信頼性を向上させることも目的の一つです。

✅ 企業の財務状況が正しく管理されているか確認

✅ 取引先からの信頼を得るために監査の透明性を確保し、経営方針に沿った業務が行われているかを確認


内部監査が必要な企業

どの規模、どの業種でも内部監査は有効ですが、以下の企業で、特に内部監査は求められます。

  • 上場企業:投資家や株主へ透明性の確保。

  • グローバル展開する企業:国際基準に基づいた業務や法令の適正確認。

  • 中企業以上の規模の企業:業務プロセスの乱れや不正の防止。業務プロセスの効率化。

  • リスクの高い業種:金融業界や製造業などリスクの高い業種。


内部監査と外部監査との違い

内部監査と外部監査の違いは以下です。

内部監査は組織内で業務改善やリスク管理を目的として行われるのに対し、外部監査では第三者が財務諸表の信頼性を確保するために実施されます。


内部監査

外部監査

目的

組織のリスク管理・業務改善

財務諸表の正確性確認

実施主体

組織内部の監査部門

外部の独立した監査法人

対象範囲

業務全般、会計、コンプライアンス

主に会計・財務諸表

法的義務

基本的に任意

上場企業などでは法的義務

内部監査と監査役監査との違い

内部監査と監査役監査の違いは以下です。

内部監査は業務改善やリスク管理を目的に組織内部で行われる監査であるのに対し、監査役監査は取締役の業務執行を独立した立場から監視・監査する法的義務のある活動です。

項目

内部監査

監査役監査

目的

業務の効率化、不正防止、リスク管理の強化

取締役の業務執行の監視・監査

主体

内部監査部門(組織内の監査担当者)

監査役または監査役会(取締役から独立)

独立性

組織内で行われるため完全な独立性はない

経営陣から独立して実施

対象範囲

業務全般(会計、業務、コンプライアンス等)

取締役の業務執行の適法性

法的義務

法的義務ではなく任意で実施される

会社法に基づき法的義務がある

報告先

経営陣や取締役会

株主総会や取締役会

タイミング

定期的かつ継続的に行われる

四半期や年度ごとの定期報告

実施者の役割

リスク評価や業務改善の提案

違法行為や不適切な経営の監視・指摘

具体的な手法

現場調査、データ分析、業務プロセス評価

経営陣への報告、取締役会の議事確認等


内部監査の主な種類と確認項目

内部監査で確認すべき主な項目は以下です。


1.会計監査(財務監査)

目的:企業の財務データや会計処理が適切かつ正確に行われているかを確認し、不正や誤りを防ぐ

主なチェック項目

  • 仕訳・帳簿記録が適正に処理されているか

  • 財務諸表が適正に作成されているか

  • 不正な取引(架空売上、循環取引など)が行われていないか

  • 資産の計上や減価償却が適切に処理されているか


2.業務監査

目的:業務プロセスの無駄や非効率を改善し、生産性向上につなげる

主なチェック項目

  • 業務フローが適正で、ルールが守られているか

  • 余分なコストや時間がかかっていないか

  • 社員の業務負担が適正か(過重労働の防止)

  • 業務が適切に標準化・マニュアル化されているか


3.デューデリジェンス(買収監査)

目的:M&A(合併・買収)や投資の際、対象企業の実態やリスクを把握する

主なチェック項目

  • 財務状況(負債、キャッシュフロー)の実態

  • 主要取引先・契約のリスク評価

  • 訴訟・法務リスクの有無

  • 知的財産(特許、ブランド)の価値


4.システムセキュリティ監査(IT監査)

目的:企業の情報システムが適切に管理され、セキュリティ対策が講じられているかを評価

主なチェック項目

  • 不正アクセスやサイバー攻撃への対策は適切か

  • ID・パスワード管理が厳格に行われているか

  • 重要データのバックアップが定期的に行われているか

  • システム障害発生時の対応計画(BCP)が整備されているか


5.コンプライアンス監査

目的:企業が法令や社内ルールを遵守し、不正や違反を未然に防ぐ

主なチェック項目

  • 労働基準法、個人情報保護法などの法律を遵守しているか

  • 反社会的勢力との関係がないか(反社チェック)

  • 社員の倫理規定や行動指針が守られているか

  • 社内のハラスメント防止対策が適切に機能しているか


6.ISO監査

目的:企業の品質管理・環境管理・情報セキュリティ管理などが、ISO規格に適合しているかを確認

主なチェック項目

  • ISO 9001(品質マネジメント):業務プロセスが標準化され、品質向上の仕組みが整っているか

  • ISO 27001(情報セキュリティ):情報資産の管理・保護が適切に行われているか

  • ISO 14001(環境マネジメント):環境への配慮が業務に反映されているか

内部監査の主要項目と目的

内部監査の流れとチェックリスト

内部監査は以下の手順で実施されます。


【ステップ1】監査計画の策定

✅ 監査の目的・範囲を明確にする

✅ 監査対象の部署・業務を決定

✅ 監査チームを編成


【ステップ2】監査の実施

✅ 現場ヒアリング・書類確認を実施

✅ 必要なデータや証拠を収集

✅ 業務フローの適正性を評価


【ステップ3】監査結果の評価

✅ リスクが高い領域を特定

✅ 法令・規定との適合性を確認

✅ 改善すべきポイントを整理


【ステップ4】監査報告書の作成

✅ 監査結果を報告書にまとめる(ポイント:具体的な改善策を記載)

✅ 経営層や監査委員会への提出


【ステップ5】フォローアップと改善

✅ 監査結果に基づき、改善計画を策定

✅ 継続的なモニタリングを実施

✅ 再監査を行い、改善状況を確認


内部監査人に求められる能力

内部監査人には以下のスキルが求められます。

  • 専門的知識:会計、業務プロセス、リスク管理の理解。企業規模や業種によって監査内容は大きく変化するため、必要に応じて外部の専門家に依頼することも大切です。


  • 分析力:収集したデータや情報を客観的かつ論理的に評価し、問題点やリスクを特定する能力。また、その際に使用するツールなどを扱う能力。


  • コミュニケーション力:関係者と円滑に情報を共有・調整し、監査結果や改善提案を効果的に伝える能力。


  • 独立性と客観性:組織内部の立場でありながら、公正かつ中立的な視点で監査を実施する能力。


内部監査と法定監査の違いについて

法定監査とは、法律で義務付けられた監査のこと。企業の財務諸表が正確かつ適正に作成されているかを、第三者(監査法人や公認会計士)が確認・証明するものです。また、法定監査は法律に基づく外部監査であり、内部監査と連携することで組織全体の透明性と信頼性を向上させる効果があります。


内部監査と法廷監査の違い

内部監査が必要な企業・不急な企業

  • 必要な企業:上場企業、国際展開する企業、不正リスクの高い企業、中企業以上の規模の企業

  • 不急な企業:小規模で業務がシンプルな企業、リスクが限定的な企業


内部監査を経営に生かすポイント

内部監査を単なる「監査」に終わらせず、経営に役立てるには以下のポイントが重要です。

  1. 経営層の理解とサポート

  2. 監査結果の明確なフィードバック

  3. 改善策の確実な実施・フォローアップ


おすすめの内部監査外注先企業

以下に、内部監査の外注を検討する際に参考となる企業をご紹介します。

1. 株式会社ハイファイ

大手から中小企業まで幅広い実績のあるコンサルティング会社。大手コンサルティング企業から転職してきたメンバーが核で構成されている小規模の会社というのが特徴で、案件担当者が決断権を持ち、柔軟に案件に合わせたスピーディーな対応が強みになっています。大手コンサルティング企業と比較すると対応範囲は狭くなりますが、安く内部監査を依頼することが可能です。


2. Exe.Forum株式会社

公認内部監査人(CIA)資格を持つプロフェッショナルが、国内外の拠点における業務監査やテーマ別監査を代行・支援しています。監査計画の策定からフォローアップ監査まで、一連の業務をサポートしています。


3. 小田公認会計士事務所

内部監査のアウトソーシングを主な業務としており、実務経験豊富な公認会計士が監査業務をサポートしています。内部監査担当者の採用に関する問題解決や、監査費用の予算化を支援しています。


内部監査のよくある成功事例と失敗事例

実際の企業がどのように内部監査を実施し、どのような成果を上げたのか、成功例・失敗例を紹介します。


成功事例:製造業のA社の場合

課題: 不良品率が高く、品質管理が不十分だった

内部監査の実施内容: 製造工程のチェックリストを作成し、各工程での品質管理を厳格化

結果: 不良品率が30%削減、製品の信頼性向上


失敗事例:IT企業のB社の場合

課題: 内部監査を形式的に実施しており、実態に即していなかった

問題点: 監査報告書が経営層に活用されず、実質的な改善が進まなかった

改善策: 経営層への報告フォーマットを変更し、具体的な改善提案を含めることで、監査の実効性を向上


2025年度の内部監査最新トレンド

近年、企業のリスク管理やコンプライアンスの強化が求められる中、内部監査の役割が変化しています。特に2024年に注目すべきトレンドは以下の3つです。


  1. DX(デジタルトランスフォーメーション)監査の増加→ AI・クラウドサービスの普及により、監査対象のデジタルリスクが拡大。ITシステムのセキュリティ対策、データ管理の適正性を評価する監査が増加。

  2. リモート内部監査の活用→ コロナ禍以降、リモートワークが定着し、内部監査もオンラインで実施されるケースが増加。リモート環境での監査手法やツール(Zoom、クラウド監査ソフト)が重要に。

  3. 環境・サステナビリティ監査の強化(ESG監査)→ ESG(環境・社会・ガバナンス)経営が重要視され、環境負荷の低減、カーボンニュートラルの取り組み などが監査対象に。企業の社会的責任を果たすための監査が強化されている。


まとめ

内部監査は、組織のリスク低減や業務効率化を実現するための重要なプロセスです。目的や手順、確認項目を理解し、適切に実施することで経営の安定と成長を支える力になります。内部監査を積極的に活用し、組織全体の価値向上を目指しましょう。

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