CRMA®資格とは?難易度・費用・試験対策や他資格との違いまで徹底解説
- 敏行 鎌田
- 13 分前
- 読了時間: 8分
目次
CRMA®(公認リスク管理監査人)とは
CRMA®資格の取得条件と必要な経験
CRMA®試験の内容と難易度
CRMA®取得のメリットとキャリアパス
CRMA®と他の資格(CIA、CFE)との比較
CRMA®取得に向けた学習方法と対策
CRMA®取得後の継続教育と資格維持
CRMA®取得にかかる費用
CRMA®取得を目指す方へのアドバイス
CRMA®(公認リスク管理監査人)とは?
CRMA®(Certified in Risk Management Assurance)は、国際内部監査人協会(IIA: The Institute of Internal Auditors) が認定する、リスクマネジメントアシュランスに特化した国際資格です。企業のガバナンス強化や戦略的リスク対応が重視される中、「経営層の信頼できるリスクパートナー」としての役割を果たすプロフェッショナルが求められています。CRMA®はまさにそのような役割を担う人材に向けた専門資格です。
特徴と位置づけ
内部監査の高度専門資格
CIA(公認内部監査人)に続く上位資格として位置づけられ、リスクアシュランスに特化した知識と実践力を認定します。
ガバナンス・リスク・統制(GRC)における監査人の戦略的役割にフォーカスし、経営レベルでの意思決定に貢献できる人材の証明となります。
実務家向け
IT・金融・製造など業界を問わず、リスク管理、内部統制、コーポレートガバナンスの実務に関わる監査人・管理職層を主な対象としています。

CRMA®証持証の取得条件と必要な経験
CRMA®(Certified in Risk Management Assurance)は、IIA(国際内部監査人協会)が認定する高度資格のため、前提資格や実務経験の条件が設けられています。
1. 前提資格:CIA(公認内部監査人)の取得が必須
CRMA®を受験・取得するには、先にCIA(Certified Internal Auditor)資格を取得していることが必須条件です。
※CIAとは、内部監査の基礎~応用までを包括的に網羅する、IIA認定の国際標準資格
CRMA®は「リスクアシュランス」に特化した高度資格のため、まず監査の基本を身につけた上で、さらにリスクマネジメント領域に進むというキャリアパスが求められます。
2. 学歴要件
原則:学士号(4年制大学卒)以上
ただし、高卒・短大卒等でも、追加の実務経験(5年以上)で代替可能
※IIAは各国の学歴制度に基づく柔軟な評価を行っていますが、原則として学士相当の学位が望ましいとされています。
3. 実務経験要件
必要な経験年数
CRMAでは、最低2年の実務経験が必要です。
対象となる職務分野(以下のいずれか)
リスクマネジメント(ERMの設計・評価・実行など)
内部監査(J-SOX監査、業務監査、システム監査 等)
内部統制・コンプライアンス
コーポレートガバナンス推進業務
経営企画・リスク評価業務(リスクマトリクス・評価手法の活用など)
4. 推薦状の提出
上司、監査マネージャー、またはCRMA/CIA保有者による推薦が2通必要
推薦者は、申請者の職務経験や倫理観を証明する役割を担います
5. その他:倫理規定の順守
CRMA®資格申請時、IIAの「職業倫理規定(Code of Ethics)」と「国際専門職業実施のフレームワーク(IPPF)」への同意と順守が必須です。
CRMA®試験の内容と難易度
CRMA®(Certified in Risk Management Assurance)試験は、リスクマネジメント・ガバナンス・内部監査に関する高度な理解と実務判断力を測定することを目的とした、英語ベースのCBT試験(Computer-Based Testing)です。
試験概要
項目 | 内容 |
試験時間 | 120分(2時間) |
問題数 | 100問(多肢選択式) |
試験形式 | コンピュータベース試験(CBT) |
合格基準 | 約600点以上(800点満点中)※正確な得点は非公開 |
言語 | 英語のみ(2025年現在、日本語未対応) |
試験会場 | ピアソンVUEテストセンター または オンライン(OnVUE) |
受験費用 | 約350〜450ドル(IIA会員割引あり) |
出題範囲(ドメイン構成)
IIAはCRMA試験の出題範囲を4つのドメイン(領域)に分類しています。
ドメイン1:内部監査の役割(20%)
ガバナンス、リスク、コントロールの基本概念
内部監査の原則・使命・価値提供の構造
IPPF(国際内部監査基準)の適用
ドメイン2:リスクマネジメント(25%)
ERM(統合的リスクマネジメント)フレームワーク
リスク識別・評価・対応戦略
リスク耐性と企業文化の関係
ドメイン3:リスクマネジメントアシュランスの提供(45%)
監査を通じたリスクへのアシュランスの提供手法
リスクアシュランス報告書の作成と経営層への助言
監査の計画・実施・レビューを通じた戦略的関与
ドメイン4:リスクコンサルティング(10%)
コンサルティング業務としてのリスク提案
経営陣や取締役へのリスク助言スキル
「第三の防衛線」としての監査の支援的機能
難易度の特徴
CRMA®試験は「単なる暗記型資格試験」ではなく、実務的な状況判断や戦略的思考が問われる構成となっています。
項目 | 解説 |
学術的 | COSO、IPPF、ERMなど国際標準の理解が問われる |
実務的 | 経営層の視点でリスクアシュランスを提案できるか |
英語力 | 難解な単語は少ないが、業務英語での読解力は必須 |
問題の質 | ケーススタディ風の設問が多く、選択肢も紛らわしい |
CRMA®取得のメリットとキャリアパス
CRMA®を取得することで、リスク管理に関わるプロジェクトや内部監査リーダーとしての価値を高めることができます。経営院や監査委員会との伝達力も向上し、任務の拡大が期待できます。
CRMA®と他の証持証(CIA、CFE)との比較
資格名 | 概要 | 主な対象分野 | 特徴・強み |
CRMA® (Certified in Risk Management Assurance) | IIA認定。リスクマネジメント・ガバナンスアシュランスに特化した国際資格 | 統合的リスク管理、内部統制、監査部門による経営支援 | 経営層へのリスクアドバイスやアシュランス提供に強み。戦略リスクを扱える |
CIA (Certified Internal Auditor) | IIA認定。内部監査の国際標準資格 | 業務監査、会計監査、コンプライアンス、内部統制評価 | 全領域の内部監査に対応。監査人としての信頼性と中立性の証明 |
CFE (Certified Fraud Examiner) | ACFE認定。不正検知・調査の国際資格 | 不正会計、横領、マネーロンダリング調査、内部通報対応 | 不正リスク評価・調査能力に特化。監査+調査+法的知識が必要 |
各資格の目的と視点の違い
比較軸 | CRMA | CIA | CFE |
主目的 | リスクマネジメント体制の評価とアシュランス | 内部監査の実施・監査部門の運営 | 組織内外の不正行為の発見・対応 |
フォーカス | リスクガバナンス、戦略リスク、ERM | 全社的監査(財務・業務・ITなど) | 不正リスクの調査と防止活動 |
監査との関係 | 「監査を通じたリスクへの貢献」が目的 | 「監査そのもの」を網羅 | 「監査+捜査(フォレンジック)」が交差する領域 |
CRMA®取得に向けた学習方法と対策
CRMA®試験は英語のみで実施される高度な専門試験であり、単なる暗記ではなく「実務的な判断力」「専門用語の正確な理解」「英文読解力」が求められます。以下に、効果的な学習戦略を段階別に紹介します。
Step1:試験構造の理解と学習範囲の把握
まずはIIA公式サイトに掲載されている出題ドメイン(4領域)とシラバスを確認し、自分の知識と業務経験のギャップを洗い出します。
IIA公式CRMA Exam Content Outline→ https://www.theiia.org に掲載
【ポイント】
ドメインごとの出題比率を確認し、特に配点の高い「ドメイン3(リスクアシュランス)」に重点配分するのが効率的です。
Step2:使用教材の選定(信頼できるリソース)
1. IIA本部公式教材
CRMA® Study Guide(英語)→ 全体の知識体系とキーワードの定着に有効
CRMA® Practice Questions(模擬問題集)→ 試験形式に慣れ、出題傾向を掴むのに最適
2. 日本語学習支援(日本IIA支部)
IIA日本支部の勉強会・サポート教材→ 用語解説・模試演習・合格者セミナーあり(https://www.iiajapan.com)
3. その他参考書
COSO ERMフレームワーク関連書籍
ISO 31000(リスクマネジメント)に関する実務書
英和リスク・監査用語集(用語の理解・翻訳練習に有効)
Step3:英語力の強化と用語の習得
英語対策の要点
難解な文法は少ないが、「監査・リスク系の専門用語」に特化した英語力が求められる
文章は長めで抽象度が高いため、「意図を読み取る読解力」が重要
対策 | 具体的な方法 |
用語の暗記 | 英和リスト化 → QuizletやAnkiで反復学習 |
読解トレーニング | IIA資料・COSO資料を精読(1日1ページ) |
模試慣れ | Practice Questionsで制限時間つき演習 |
Step4:学習スケジュールの設計(目安:2〜3ヶ月)
週数 | 内容 |
1〜2週目 | 試験範囲の確認/教材収集/語彙暗記スタート |
3〜4週目 | 各ドメインのインプット(公式ガイド) |
5〜6週目 | 模擬問題集で演習+弱点補強/用語の再確認 |
7〜8週目 | タイムトライアル形式の模試/解説復習/論点の整理 |
CRMA®取得後の続結教育と証持証維持
CRMA®を維持するためには、手続きとして毎年手続料の支払いや、CPE(Continuing Professional Education)クレジットの採得が必要です。
要件 | 内容 |
1. 年次更新申請(Annual Certification Renewal) | 毎年、IIAに対して資格維持の意思表示と更新料の支払いを行う必要があります。 |
2. 継続専門教育(CPE:Continuing Professional Education) | 毎年一定の時間数の教育・研修・学習活動(CPEクレジット)を取得し、報告することが義務付けられています。 |
CRMA®取得にかかる費用
CRMA®は国際資格であり、試験費用+教材費+学習にかかる時間的投資の3つの観点で、総合的な準備が必要です。IIA会員か非会員かによってコストは大きく異なります。
試験関連の基本費用
項目 | IIA会員 | 非会員 |
試験申込料(Application Fee) | 約115 USD | 約230 USD |
試験受験料(Exam Fee) | 約380 USD | 約495 USD |
年次更新費(保有後) | 約25 USD/年 | 約60 USD/年 |
再試験受験料(不合格時) | 約310 USD | 約445 USD |
※2025年時点のIIA Global料金目安。為替レートにより変動あり。
教材・講座にかかる費用
費用項目 | 目安金額 | 内容 |
公式スタディガイド(英文) | 約150〜250 USD | IIA提供のテキスト+問題集(英語) |
模擬問題集(Practice Questions) | 約100〜200 USD | オンライン模試 or 書籍 |
日本語対策講座(任意) | 約3万〜8万円 | IIA日本支部、外部予備校、企業研修など |
リスク関連書籍(COSO ERM など) | 3,000〜10,000円 | 参考書やフレームワーク資料 |
総合コストの目安(1回で合格した場合)
パターン | 会員価格 | 非会員価格 |
最低ライン(試験のみ) | 約55,000円(試験料のみ) | 約95,000円 |
推奨ライン(教材+模試含む) | 約90,000〜120,000円 | 約130,000〜160,000円 |
研修・講座込み(フルサポート) | 約150,000〜200,000円 | 〜250,000円程度 |