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IIA国際フレームワークとは?基礎から実務活用まで徹底解説

近年、内部監査の役割は単なるコンプライアンスチェックから、リスクマネジメントや経営支援にまで広がっています。その中心に位置するのが、IIA(The Institute of Internal Auditors:国際内部監査人協会)が策定する「IIA国際フレームワーク」です。

本記事では、IIA国際フレームワークの概要から最新動向、実務での活用方法まで、専門的に詳しく解説します。


目次

  1. IIA国際フレームワークとは?

  2. IIA国際フレームワークの構成要素

  3. IIA国際フレームワークの活用方法

  4. 2025年改訂版:グローバル内部監査基準(GIAS)とは?

  5. IIA資格試験(CIA・CRMA)とフレームワークの関係

  6. まとめ:IIA国際フレームワークを経営に活かすために


IIA国際フレームワークとは?

IIA国際フレームワーク(IPPF: International Professional Practices Framework)は、内部監査業務の国際的な標準を定めた体系です。内部監査人が一貫性と高品質を保ちつつ、組織に価値を提供できるよう設計されています。すべての内部監査活動のベースラインであり、グローバルな監査実務の共通言語となっています。



IIA国際フレームワークの構成要素

定義(Definition)と使命(Mission)

  • IIA国際フレームワークの定義

    「組織の業務改善を支援するため、リスクマネジメント、コントロール、ガバナンスプロセスの有効性を評価・向上させる独立した保証・助言活動」

  • IIA国際フレームワークの使命

    「内部監査の活動を通じて、組織の価値創造を促進すること」


核となる原則(Core Principles)

内部監査が効果的であるために満たすべき10の基本原則が定められています(例:誠実性、客観性、能力と勤勉性、リスクに基づくアプローチなど)。

原則

内容

誠実性を示す

高い倫理観と誠実な行動を持って業務を遂行する

客観的かつ公正な判断を行う

利害関係から独立し、中立的な視点を維持する

組織への責任を果たす

組織の利益にかなう助言・保証を提供する

適切な知識・技能・経験を有する

必要な専門知識と能力を備え、継続的に研鑽する

リスクに基づくアプローチを採用する

リスクに応じた優先順位を設定し監査活動を行う

効果的なコミュニケーションを図る

関係者との円滑かつ明確な意思疎通を実施する

組織の改善に貢献する

組織課題に対する建設的な助言を行い改善を促す

組織の戦略目標に整合する活動を行う

組織戦略に沿った監査活動を実施する

組織のガバナンスを支援・強化する

ガバナンス機能をサポートし統制の向上に寄与する

価値を創出し持続的に改善する

監査活動を通じて組織価値を向上させ続ける


職業倫理規定(Code of Ethics)

内部監査人の行動規範として、以下4つが求められます。

  • 誠実性(Integrity)

  • 客観性(Objectivity)

  • 機密保持(Confidentiality)

  • 能力(Competency)


国際内部監査基準(Standards)

  • 必須基準(Mandatory Standards)実施基準(Implementation Standards)に分かれ、監査活動の質を保証するための具体的ガイドラインです。


推奨指針(Implementation Guidance)

内部監査実務におけるベストプラクティスを提供し、柔軟な適用を促進します。


IIA国際フレームワークの活用方法

内部監査品質の向上

IPPFに準拠することで、内部監査部門の活動が体系化され、外部評価(External Assessment)においても高い評価を受けることができます。

事例:某グローバル製造業では、IPPFに基づく自己評価(QAIP)を導入した結果、外部監査人からの指摘件数が前年対比30%削減。


監査計画・実施・報告への適用

  • 年間監査計画の策定(リスクベース)

  • 実地監査におけるエビデンス収集と文書化

  • 報告書作成における客観性・説得力の確保


2025年改訂版:グローバル内部監査基準(GIAS)とは?

IIAは2025年から、従来のIPPFを進化させた新体系「グローバル内部監査基準(GIAS: Global Internal Audit Standards)」を導入予定です。


主な変更点

  • 原則重視型(Principles-based)から、行動指針型(Action-based)へ進化

  • ESGリスク、サイバーリスク等の新興リスク対応が重視

  • 監査部門の独立性・組織内価値創出への寄与が強調


IIA資格試験(CIA・CRMA)とフレームワークの関係

CIA(公認内部監査人)試験やCRMA(公認リスク管理監査人)試験では、IIA国際フレームワークの理解が合格の鍵となります。

  • CIA Part1ではIPPFの理解が出題範囲の40%以上を占める

  • CRMAではリスクアシュランス活動の設計にIPPFの適用力が問われる


まとめ:IIA国際フレームワークを経営に活かすために

IIA国際フレームワークは、単なる内部監査部門向けのガイドラインではなく、組織全体のリスク管理力・ガバナンス品質を高めるための戦略的ツールです。

これを正しく理解・実装し、内部監査を経営支援型へと進化させることが、これからの企業に求められています。IIAフレームワークの理解と実践が、組織の持続的成長と競争優位確立の鍵となるでしょう。

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